2016年1月31日日曜日

電子負荷(EUL-300B_富士通電装)

不良バッテリーの再生実験も細々と行っており、バッテリーの放電特性測定には電球などの抵抗負荷を使っておりました。

電源装置の試験に電子負荷を使用する事も考えておりましたが、いかんせん価格が高い。100Wクラスのトランジスタを使って自作も考えておりましたが、手ごろなものがオークションに出ており落札いたしました。

物は富士通電装製のEUL300Bと言う物で300Wの容量が有るようです。
手元に届いたものは電源線を装置付根で切られておりメーカさんの廃棄品の様でした。とても汚れており、シール跡も一杯です。


装置の底を見ると「故障、要修理」のシールが貼っております。幸先不安でした。


自宅に入れる前に清掃を行います。特に熱を発するものやファンを使っている物は埃が溜まっていたりして不潔ですね。(虫が居たりします)
刷毛で埃を浮かし、エアーコンプレッサーで吹き飛ばして綺麗にします。
特にトランジスタ周りのシリコングリスに付着した埃を念入りに行いました。埃やカーボンによりルーズコンタクトする場合があります。

さて何処が故障しているのでしょうか。動作確認するためには電源線を張り替えます。
電源コードは2心有りますが、一方を前面の電源SW、もう一方はFUSEホルダーに接続されています。

電源SWk側


FUSE側


電源線の張替を完了・。純正は灰色コードでしたが手持ちの黒色となりました。

電源を入れテストします。


電源側に電流制限を設定し、万が一ショートした場合にダメージ少なくなるようにしてから、試験用電源を10V-3A迄行い(MAXの1/10)ましたが、なんと正常に動作しました。


内部が埃で汚れており、その影響で動作不良となっていたのかな。
測定器の不調や動作不安定は「清掃」で良くなるケースが沢山あります。

動作が正常なので装置の清掃を徹底的に行います。
基本は「ウイルシャット」での清掃ですが、パネルやケースは中性洗剤を使って水洗いを行っています。

ケースは水洗いとメラミンスポンジを使いました。このメラミンスポンジは、金属のクスミや汚れが綺麗に取れましたが、前面パネルはレタリングの文字が消えそうなので布しか使用していません。

ケース上部。取っ手を外しましたので汚れ具合が良く判ります。
全体的に汚れております。

清掃完了し組立てました。とっても綺麗です。

この装置ですが、入力電圧110V、最大電流30Aで300Wまで使用できるようです。
バッテリー放電試験では12Vの物を25Aまで流せますので便利ですね。しかも定電流で流せるのでとても素敵です。
今までは抵抗負荷なので電圧低下に伴い電流が流れなくなりましたので。

2016年1月13日水曜日

周波数カウンターの修理(TR5825_TAKEDARIKEN)

手持ちの周波数カウンターで一番性能が良いのはADVANTESTのTR5825Aである。
今後も長く使うつもりなので予備品があったらいいなと思っていた。

ヤフオクで周波数カウンターの出物を眺め気になる物をウオッチリストに入れているが、TR5825で誰も入札しない物が有った。値下げ再出品されていたので「部品取り」でも良いと思って5kで入札したら落札できた。
このカウンター、誰も入札しなかった理由は多分CHECKで「0.00」表示となっていたからかな。クロックが死んでいるか、コントロール部が壊れている模様であった。

手元に届き動作確認したら出品写真のとおり電源投入でチェックが走り「0.00」表示。期待を込めてSTD切替スイッチをEXTからINTに切替えたが「0.00」表示のままだった。
本格的な修理を覚悟した。


内部クロックが死んでいるのであればSTDを「EXT」として10MHzの信号を入れれば動作するはずである。これで、故障部位の切り分け試験となり、クロック側、制御側か判断できます。

現用のTR5825Aから10MHzの信号を入力したらCHECKで「10.0000」の表示が出た。しかしゲート表示LEDの光り方がおかしいし、スイッチでCH-A,CH-Bに切替えても表示がおかしかった。


最初に内蔵している5MHzのOCXOの動作を確認しようとして、装置の電源を入れた状態でSTD切替スイッチに振れたら瞬間10.0000表示が出た。
切替スイッチに振動を与えると10.0000表示が出たり0.00になったりする。何のことは無い「STD切替スイッチ」の接触不良であった。

スイッチは昔よくあるスライドスイッチだったので、接点洗浄剤RIPEで清掃したら接触不良は解消し正常に動作するようになった。

何時もお世話になっております「RIPE」

修理が完了してしまった。CHECKで10MHzの表示がされております。

性能確認「CH-A」に1GHzを入力したら誤差は有るもののチャンと動作している。
CH-Bは200MHzまで動作しました。CH-Aは1GHzまでですね。

TEST信号発生用のMT8820A 2号機

周波数カウンターがまた一台増えました。
でも、清掃と校正、さらにCH-Aの入力コネクタ問題が残っています。

最初の症状から、OCXOや内部部品の不良で重症を覚悟しておりましたが、簡単な修理で良かったです。
しかし、偶然スイッチに触れなければド壷にハマってたでしょう。OCXOからクロック回路を追って・・・とても時間が掛かっていたと思います。

今回の教訓は「古い機器の修理・整備は清掃から」を実践することですね。スイッチ類は接触不良を考慮してルーコン試験を最初に行うべきでしょう。

----2016.2.7 追記----------------------------------------------------

入力コネクタを交換しました⇒こちらをクリック


2016年1月11日月曜日

GPS受信機を周波数カウンターに応用する(その2)

周波数カウンターの精度向上をネタに色々と遊んでいてOCXOの安定度の素晴らしさは良く判ったのだが値段が高い。GPSDOも有るのだが外出さきまでは持っていけない。

そこで、前に購入したGPS受信機を周波数カウンターに内蔵してみた。
手に入れたGPS受信機はAitendoの1980円の物でU-blox社のNEO6と言う受信ユニットを使っている。色々と調べたら1PPSの信号の他、1KHzまで出力が設定できるようである。
u-blox GPSモジュール [NEO6M-ANT-4P]】
しかし、受信機のユニット出力には信号が出ていないので、基板から直接取り出すこととした。

まずは実験。GPS受信機とパソコンを接続しU-blox社の受信ユニットの評価ソフトを起動した。
評価ソフトはU-blox社のホームページからダウンロードできる。GPS受信機の信号はTTLレベルなのでUSB-TTL変換ユニットを中間に入れる。これもAitendoで入手した。

GPS受信機の1PPS出力は、衛星を捕捉完了すると1PPSでフリッカーするLEDから引き出した。


このLEDからバッファーのトランジスタを介し信号を分配する。
GPSユニットからの信号はポリウレタン線でユニバーサル基板へ渡している。

この信号は実はGPS受信ユニットをコントロールすることで1KHzまで上げる事が出来た。
実際に測定してみると。100Hzで1.3マイクロHzの差と言う精度でした。

このGPS受信機を古い周波数カウンターへ内蔵してみた。
コネクタ類の実装場所が無いため、交流入力電圧切替スイッチ部を撤去した。元々100Vでしか使わないし。

配線が無くなりスッキリしました。
GPS受信ユニットには、まだ回路を組む予定なのですが実験のため実装して見ました。


GPS受信機の信号を100Hzに設定して、周波数カウンターのクロック100Hzをパタンカットして接続します。
電源も仮なのでICのピンから引き出しました。


電圧切替スイッチの撤去跡にGPS受信機の外部アンテナ端子(SMA)とPC接続信号(TTL)端子を実装しました。
 改造前
改造後

GPSアンテナは窓際き置き、電源を投入しパソコンで動作確認を実施。
とっても感度が良いGPS衛星を多数捕捉しており精度も期待できそう。



衛星も捕捉し同期も取れたようなので周波数カウンターの測定入力へGPSDOの10MHzを入れました。10MHzの表示です。
GPS信号を受信し確立していればオレンジのLEDが点灯するようにしました。


この状態でGPS受信機の信号を100Hzから10Hzに落としたら、思うようにゲート時間が10倍になりました。
10MHzは100MHzとして測定されます。下の状態は一番したの桁が0.1Hzになります。

100MHzと表示されます。

さらに1Hzにすれば0.01Hzまで測定できます。この時の表示も000000.000となっており、1×10^-9程度の精度はありそうです。

いやー40年近く前の周波数カウンターが最新のGPS技術で物凄い精度の測定器に生まれ変わりました。

実験で組んだだけですので、GPSを受信していない時は内蔵のVCTCXO側の信号を使うように回路を組みましょう。

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1/12追記
 下が追加した回路です。


 原理としては、GPS受信機の1PPS出力LEDのパルスを検出したら、M/Mで2秒間タイマーが動作し周波数カウンターの内部クロック100HzをGPS側の信号に切替えます。
 このM/Mはタイマー動作中にトリガーが加わった時点からタイマーがリスタートします。
タイマー動作時間>1PPSの設定なので、GPS受信信号が継続して入力されるうちは周波数カウンターのクロックはGPS側となるわけです。とてもシンプルな回路で我ながら気に入っています。

 回路を組込んだのがこちらです。


 GPS受信ユニットの出力信号を100Hzに設定しても電源が切れると、デフォルトの1Hzに戻ってしまいした。なので現状はGPS受信中はゲート時間が100秒となり分解能は0.01Hzとなっております。
もし、1Hzとする場合はPCを接続してGPS受信機の設定を変更すればOKです。

2016年1月3日日曜日

周波数カウンターのメンテナンス(TR5825A_その2)

その1はこちらです←クリックしてね

TR5825Aは私の持っていいる周波数カウンターの中では唯一オーブンを備えており、今までは我が家で基準としておりました。
校正器具としてGPSDOを手に入れ誤差を測定したら、基準10MHzに対して9.99999990と0.1Hz誤差があることが判明しております(校正値となります)
OCXOをいじくって居る中で、リサージュ波形による周波数調整方法を見つけたので、この周波数カウンターも出来る限り誤差を少なくするため調整を行った。

オシロスコープで周波数カウンターの10MHz出力とGPSDOでリサージュ波形を観測、ゆっくりと輪が回転しております。



1回転する時間は約10秒で、丁度周波数誤差の0.1Hzに該当します。

周波数カウンターのSTDと言う調整VRを変化させリサージュ波形が回転しない点を探しますが、完全に停止させることは無理でして、最長45秒/回転でした。

最良点でGPSDOの周波数を測定したら以下の様に誤差0.01Hzとなった。実際はドリフトするのでしょうから。最後の一桁0.0XHzは信用できない桁ですね

周波数カウンターの精度を向上しよう(OCXO MV89A)

周波数精度を求め、ついに安定度・精度抜群と言われているダブルオーブン構成のMV89Aを手に入れた。

動作確認するためユニバーサル基板に実装し、電源線や周波数調整用のVRを取り付けた。
電源は+12V±5%を供給し出力信号の波形を測定、綺麗な正弦波であった。
それにしてもデカイ。前に試験したMV85A(右上)、OCXO131-191(右下)と比較するとその大きさが判るかな。

発振周波数を確認すると、なんと9.999830MHzと170Hzもズレテイル?
不良品かなと思いつつオーブンが暖まるまで待つことにした。
時間経過と供に10MHzに近づいていく。安定時には9.9999984MHzと1.6Hzの差となった。
そのときのオーブンの温度はなんと50℃を超えている。

周波数調整は外付けVRで行うが、これが大変。周波数カウンターで周波数を調整していたが0.1Hz単位では測定時間が10秒、0.01Hzでは100秒(1分40秒)も必要で、思うように調整できないのである。
これでは思うように調整が進まないので、色々と考えて見た。
そして結論はオシロスコープでリサージュ波形(X-Y波形)を見ながら周波数を合わせると言う物。
これならリアルタイムで周波数のズレが判り、簡単に基準周波数に合わせる事ができるだろう。

と言うことで、オシロスコープで測定を行った。デジタルオシロを使用しているのだが最初使い方が判らず焦る。マニュアルをダウンロードして測定方法を確認(X-Y測定)できた。
【アナログオシロならホトンド前面パネルにスイッチが有ったが、デジタルは機能が有りすぎて・・】


CH1にOCXO出力、CH2にGPSDOの信号を入れリサージュ波形を観測しつつ、OCXOのVRで調整する。ホトンド波形が回転しない様に調整ができた。

リサージュで測定しOCXOを調整する手順をメモしておく。
1.OCXOのオーブンを十分に暖めて、周波数カウンターで0.1Hz単位まで周波数を合わせる。
 (コツ1:ある程度周波数を合わせておかないと、リサージュ波形の静止点を見つけ辛い)

2.オシロスコープのX軸にOCXO信号を入力
 (コツ2:各信号は電圧が違うので各々の測定レンジを適正にする)

3.オシロスコープのY軸に基準信号(GPSDOやルビジュウム等)を入力
 (コツ3:周波数校正が完了した周波数カウンターの外部出力信号(10MHz)でも良い。但し、精度は周波数カウンターの校正値となる)

4.リサージュ波形(X-Y測定)を観測

5.リサージュ波形が静止するようにOCXOのVRを調整
 (コツ4:イメージとしてリサージュ波形が右回り⇒左回り(または逆)と変化する点にゼロインポイントがある)

とっても簡単・短時間で調整完了できる。
MV89Aのリサージュ波形をしばらく観測していたが、少しながらもリサージュ波形が長時間で回転する。VRを調整仕切れていないのだろうが、これはもう不可能な領域ですね。

さてケースに組み入れますか。

---------------------------2016/01.17追記------------------------------------

動作確認したMV89Aをケースに入れた。
このMV89Aは最大消費電力が1.5Aなので、12V2.5Aと言う電源ユニットをヤフオクで手に入れた。
これと一緒にケースへ組込んだ。

久々のケース加工はドリルとヤスリ、ハンドニブラーで簡単にできた。

OCXOの出力はBNCコネクタで外部出力1個とし、絶縁タイプの物を使ってアースを浮かせる構造としています。
 バッファーを増設して出力数を多くした場合はアースタイプにしようかな。

電源を入れ、周波数変動を確認したら①投入時-250Hz、②12分後-0.02Hzでした。最後にGPSDOの信号とオシロスコープでリサージュを観測したら、非常にゆっくりと回転していました。
これは調整で停止できない範囲なので諦めですね。 およそ-0.02Hz程度の誤差です。

調整後に電源断し2週間電源を入れない状態で保存しても誤差が-0.02Hzですので副次校正器とて十分な精度です。

現在使用してるTR5825AのOCXOより高精度なので外部クロックとして使用する予定ですが、校正が必要な友人には貸し出ししようかな。


2016年1月2日土曜日

周波数カウンターの精度を向上しよう(OCXO131-191)

先に動作を検証したMV85Aと一緒にOCXO131-191も手に入れたので試験を行った。

OCXOの説明書を確認し配線を接続した。最近はタブレットを使って見ています。


このOCXOも+12Vを供給するだけで精度の高い10MHzを発振してくれる。残念ながら信号は綺麗な正弦波とは言えない。

発振周波数は10.00000003MHzと0.03Hzずれていたので調整回路を追加し、Vinへコントロール電圧を加える。
カタログではMAX8Vでセンター4Vだった。調整VRを10kΩとし直列に4.7kΩを入れ12Vへ接続すれば完了。

周波数調整VRにより10.00000000MHzに合わせた。

オーブンを十分暖めても最下位の1桁はふらふらする。(と言っても最終桁は0.00Hzなので測定に100秒掛かる)
最終一桁の誤差なら1×10^-8は確保されているのかな。

継続してデータを取りましょう。

此処まで来たら、ダブルオーブンのOCXO、MV89Aを使って見たくなりオークションで手に入れました。ルビジュウム以外では最も精度が高くなると思われます。

次回はMV89Aのレポートをします、