2015年5月19日火曜日

MG443Bの修理(anritsu_信号発振器)

無線機の修理・調整に発信器は欠かせません。
今もanritsuのMG443Bを使用いていますが、オークションに方の古いMG443Bの出品が有り、部品取り用として落札していました。出品者は同型の物を複数出していましたが、落札したものは1/2の開始価格で、説明には有りませんでしたが、分けありの様な気がしました。

物を受け取り動作確認したところ、一応動作はするものの、ダイヤルによる周波数変更ではカウントアップしかしません。左右どちらに回しても周波数が上昇するのでした。
使えない事は有りませんが、不便なので修理を行うこととしました。(あれ?部品取りでは?)
【これは修理の記録です。参考にして何かされる場合は自己責任で行ってください。私は責任を取りません】

研究機関で使用されていたとの事ですので、長時間使用されていたと思い、内部清掃を行いました。
蓋を開けて見ると、予想通り綿埃が一杯です。コンプレッサーで吹き飛ばしましたが、状況は変わり有りません。

本格的に、前面パネルを外しダイヤル部を修理しました。

上下の蓋を外し、側盤のハンドルネジを外すと側盤が外れます。前面左右のネジを外すと前面パネルが取れます。

このタイプのダイヤルは、フォトカプラーによるアップダウンカウンターが普通と想定しましたが、その通りでした。

前面パネル内も埃だらけでしたので清掃しました。

前面パネルを外し、基板を外してからコネクタを接続し動作試験を行います。

ダイヤルのアップ・ダウン判別はダイヤルのスリットから漏れる光により2個のフォトダイオードのどちらが先に受光したかで判断しているようです。

フォトカプラーの2個ある発光ダイオードを片側ずつ強制的にOFFとし動作確認すると、左→右の順ではカウントダウンする事が判明しました。

これは、フォトダイオード(トランジスタ?)やカウンターが生きている証拠です。
ダイヤルメカを基板から外し、更に分解し発光素子をアルコールで清掃し組立てなおしました。
ダイヤルメカは半田付けされていますので、ハンダ吸取器が無いと基板にダメージが発生します。

基板側の受光素子も清掃します。


バラックで接続し動作確認をすると、上手い具合にアップダウンできるようなりました。
組立てなおして作業終了です。

今までもanritsuの測定器を手に入れメンテナンスしていますが、清掃で調子が良くなる・修理完了となる場合が多いですね。さすが世界のanritsuです。信頼性が違います。

2015年5月16日土曜日

固定減衰器の入手(ATT)

無線機の送信系を修理・調整しているが、送信出力の品質確認はツートンジェネレータの変調による波形観測のみだった。スペアナによる高調波も測定したいのだが、直接接続するには送信電力が大きすぎてそのまま入れることは出来ない。
100Wクラスの送信電力に耐えられるアッテネータ(固定減衰器・ATT)は、市販されていても非常に高価で手が出ない。かといってダミーロードタイプのL型減衰器を作ったとしても、無誘導抵抗など手に入らないので金属皮膜抵抗ではHF位しか使えないと思われる。

など考えていたところネットで容量が100Wで30dBのアッテネータを見つけた。ちょっと高かったが1GHzまで使える様なので無理して落札してしまった。
出品者の他の商品を確認したら、欲しいものがゴロゴロしている。
結局、フジソクの60W終端型電力計(-40dB出力あり)とagilentの30dBアッテネータを手に入れた。
スペアナの入力限界が+30dBmなので100W+agilentで60dBの減衰となるので丁度良いかなと思われる。

現物をみると、その大きさにビックリ。15Wのダミーロードがトテモ小さく感じれれる。データを確認しなければ判らないが、たぶん入力に100Wを連続していれても耐えられる様な感じである。ファンを取り付け強制空冷すると500W位まで使えそう。

フジソクの終端型電力計もメータにヒビが入っているが固定減衰器として使う分には問題が無い。
かなり使い込まれたようで塗装がボロボロではあるが致命的な破損個所はなさそうである。

何時ものごとく汚いところは清掃しピカピカにした。

外観がどうでも良いのだが、肝心の機能はどうか測定した。固定減衰器の壊れ方は「過大入力による焼損」「物理的破壊」である。

入力にはハンディトランシーバを使用し+23.7dBを確認。

100W30dBのアッテネータを測定
計算上は30.6dBの損失であった。
測定コードの損失もあるので誤差範囲である。

測定状況。アッテネータの大きさが判りますでしょうか。
右端に有るのがagilentの30dBのATTです。

フジソクの終端型電力計を測定。
39.3dBの損失です。±2dBとの事ですので大体有っています。

測定状況。メータは少ししか針が振れません。入力が200mWですので誤差範囲ですね。針がふれるのでダイオード検波は生きているようでうす。

最後にagilentの30dBです。
30.3dBの減衰ですね。

試験の結果、全て減衰器(アッテネータ・ATT)として生きているようです。
これで、100Wの無線機の出力信号をスペアナで安全に見れるようになりました。
フジソクは500MHzまで使用できますので430の送信に使えます。まあ予備ですね。
後で、測定コードや変換コネクタのロスを測定し補正を行います。

2015年5月10日日曜日

TS830の修理(その8_最終かな?)

だいたい一通りの整備が済みましたので、再塗装したケースを装着させました。やはりTS820やTS520より大分明るいグレーのようで若干(大いに?)違和感がありますが、汚いサビサビよりはましでしょう。
【ライトグレーの塗装です】

 【最初、到着時】


塗料は普通のペンキ使用しましたが傷がつきやすい様です。いっそのこと車用のペイントで深いグレーにしたら良かったも。

【本内容を参考に何をなさる場合は自己責任で行ってください。私は責任を取りません】
受信のSメータの調整も行いました。ノイズレベルで針が振れないようにし、40dBμの信号でS9と成るようにIF回路のVR2,VR3で調整しました。VR2でSメータの振れ初めを調整しますが、立ち上がりをあまり動かないようにすると、VR3でS9まで針が振れないので注意が必要です。

調整で周波数調整しパワーも出るようになったのですが、ダミーロードでの調整で実際に交信したわけではないので、変調度合いを確認するため、ツートーンジェネレーターを接続して試験を実施。
なんと、変調がかからない。SSBモードで電波がほとんど出ないのだ。
マイクアンプの入出力を確認すると、しっかりと信号をアンプしている。マイクアンプ回路の出力は一旦前面パネルのマイクゲインVRとプロセッサーSWを経由しIFブロックに戻って来る。
この戻って来た信号がノイズのみでした。
原因はプロセッサーSWの接触不良の様で、RIPEの清掃で復旧しました。
信号確認をしているとき、通常使っているデジタルオシロでは連続した変化する信号にトリガーが追従できず中途半端な波形観測となります。
こんな時はアナログオシロスコープに限ります。リニアに波形の変化を確認できます。
【こんな時用の岩通100Mオシロ】

【ダミーロード手前での波形観測】
写真では停止していますが、波形が左から右に流れるような感じで動いています。このような波形や髭が有る波形の観測にはアナログオシロが一番良いですね。

これでTS830の修理は完了でしょうか。現状ではWACバンドは受信のみですが、RF基板のダイオードを切断すると送信できるようになります。

さて次は何に手を加えよう

2015年5月6日水曜日

TS830の修理(その7_送信系修理2)

送信が出来る状態となったのでコイルパックの調整を実施した。
結構ずれていて最適なポイントに調整したが、受信に切り替わったときSメータが5位振れるほどのノイズが発生する。
リレーの振動で発生するようなのだが、定かではなかった。コイルの調整時に12BY7に触れた時にノイズが発生する。ルーコン試験を行ったら送信出力が出なくなった。
真空管に斜めに力を加えると改善する。


12BY7の接触不良と思い真空管のピンを磨いたり、9ピンソケットを清掃したが状況は変わらなかった。真空管ソケットのプリント基板側を突っ突き試験したら2番ピンでノイズが発生する。
これは真空管ソケットの半田付け不良と思うRF基板を外す事に。

これが大変であった。基板の配線コネクタを外し、半田付けを3個所(貫通コンデンサ1、バリコン1、基板裏側1)外し、更にロータリースイッチの軸を外した。軸を外すにはファイナルの6146Bを1本外して六角レンチでジョイントを外すと大変でした。


基板を外して真空管ソケット辺りを確認したらソケットの半田付けにヒビが入っている。接触不良に成るのも当然であった。

真空管ソケットを半田付けし直して他も点検。コネクタの一部にもハンダクラックを発見し手直しした。

基板を無線機に組み込み、配線とコネクタを元に戻し終了。

基板を元通りにしてからルーコン試験。真空管周りを叩いてもノイズの発生は無くなった。
送信パワーも3.5M ~21Mで100W出るようになった。前は14,21Mで70Wしか出た無かったのだが、半田付不良が原因だったのでしょう。
安定して出力が出るようになったのでメイン信号計は完了かな。次は変調系をいじりましょう。

2015年5月5日火曜日

TS830の修理(その7_送信系統の修理)

受信系の整備がホボ終了したので送信側の整備に取り掛かる。
油冷ダミーロードを接続し、TUNE_MODEで送信試験。
結果、パワー0「ゼロ」。全バンドで出力が無い。
CWモードでIPが50mA流れる程度でRF出力が無い。

回路図を確認すると12BY7の入力にテストポイントがあるのでオシロスコープを接続し波形を観測したらシッカリとした信号を確認できた。

そうすると12BY7以降の不良となる。先輩より12BY7の不良例も一杯有ると聞いていたので12BY7に指で触るとIPがピクピクする。
12BY7を取り外しピンを確認すると酸化し変色していた。

【金属シールドを外し確認中】

駄目元で12BY7のピンを磨いて戻し送信試験するとRFパワーが出る様になった。
意外と簡単に送信が出来るようになったので、物足りなかった。
最大出力は7MバンドでCWモードで100W出ております。
次は送信系統のコイルパック調整ですね。

TS830の修理(その6_VFOの調整)

全モード受信出来るようになりダイヤル位置と周波数表示が大きくづれているのが気になる。TS820はメインチューニングダイヤルの内側を固定しダイヤルを回すことで調整できたがTS830では出来ない。
サービスマニュアルを確認したらVFOの調整を行う必要があるようだ。

VFOを引き出して調整ポイントを確認すると銀テープで封印してあった。今まで調整していない証拠かな?

封印?を剥がしポイントを確認。コイルとトリマで調整する。
 左側3個の穴があり、下から2個で調整実施

VFOのケースを念のためアースに落とす。
動作確認に050kHzにダイヤルを合わせると062.6kHz表示。12.6kHzズレテイル。

周波数カウンターでも同様にずれている。正常時は5550kHz
VFOのコイル調整で周波数を5550kHzに合わせる

当然周波数表示も7.050.0表示となる

次にVFOを450kHzとし5950kHzとなるようVFOのトリマを調整する
トリマ調整はクリチカルで何とか誤差40Hzに合わせる

050kHzと450kHzを数回交互に調整する。
最終的には0,100,200,300,400,500kHzで±2kHzであればOKらしい。
試験したら誤差範囲なので終了とした。
 100kHzで7.100.0表示。バッチリ!!

TS830の修理(その5_ケース再塗装)

連休も終盤となり天気も良いのでTS830のケースを再塗装した。
錆でボロボロで、一生懸命錆を落し錆止めを施していたが此のまま使用するには汚いので。

純正の塗料は手に入らないので市販の塗料で色が似ているものを選んだ。カラーはライトグレー。

塗装するためには前の塗装を取りぞのく、もしくはサンドペーパーで塗装面を荒立てる必用があります。今回は、錆の部分を重点的に塗装を剥ぎ、他は塗装にサンドペーパー掛けした。

サンドペーパーは#100~#240を使用しゴシゴシ磨いた。
磨いた後

塗装を行った。基本重ね塗りを5~6回施す。一気に塗ると液だれ等が発生するので、薄く塗って乾かしては又塗るを繰り返す。
底側のシールはマスキングテープで養生後に塗装した。
純正より明るい色になったが仕方ない。グレーだと濃すぎる感じがしたのだが其方の方が良かったかも

2015年5月4日月曜日

腕時計の電池交換(PRT40BLJ)

昨日、釣行にアウトドア用のデジタル時計を持って行こうとしたら表示が消えており電池切れだった。
この時計はカシオのPROTREKでトリプルセンサー(気温、気圧、方位)を搭載しており当時は画期的だったと記憶している。
本当は10気圧防水機能を守るためにメーカ以外が交換してはいけないのだが電池を2個交換しなければならず手間賃を含めると結構高価になると記憶している。
なので前回から自己責任で自前で交換を行っていた。
今回も自分で交換する。
交換方法は簡単で1.裏蓋のネジを4個外し、2.電池を交換、3.リセット、4.裏蓋を締めるだけ。
でもシッカリと手順を踏んで元に戻さないと壊れてしまいます。
【このページは電池交換の私的記録です。参考に何かなされる場合は自己責任でお願いします。私は責任を取りません】


1.裏蓋のネジを外す
  時計からベルトを外し、裏蓋のネジを4本外します。
 

2.ゴムパッキンを外す
 私の場合は裏蓋にピッタリくっ付いていましたので外します。

3.電池を外します
  電池を抑えている金具を外し電池を抜きます。
  写真の状態では電池押さえ金具の左側に外すための出っ張りがあります。
4.交換用の電池です
  SR927SWと言う電池でしたので同型を入れましたが、色々と調べると本来はSR927Wを使うべき模様です。(W→強電流用でデジタル向き、SW→針式用)
  最初に自分で交換したときにも同型を入れていたので、お店で交換した時に安い方の電池を使ったのでしょうか。(SWは380円、Wは580円)
  次回からはWの方を買おうと思いますが、前回交換してから3年位使っていましたので問題ないのかな?
 

5.清掃
  長年の使用でパッキンより外側の汚れと錆が有るので清掃しました。
  清掃内容は裏蓋の錆と汚れを除去、本体のパッキン外側の清掃、パッキンの清掃
  裏蓋の錆はマイナス精密ドライバーで軽く削り、汚れはウイルシャット(アルコール)を綿棒に浸み込ませ軽く拭きながら汚れを除去しました。
  パッキンも同様に軽く(あくまでも軽く)清掃しました。ゴムなのでアルコールで劣化する恐れがあります。水の方が良いかもしれません。
  本体のパッキンを収める溝の清掃は綿棒では届かないので紙を爪楊枝の先に巻き清掃しました。私は「シルボン紙」を使っています。この紙はカメラのレンズ清掃に使う物で埃の発生が有りません。パッキンを収める溝と裏蓋には埃等が付着しないよう気をつけます。
シルボン紙
清掃状態

6.リセット
  リセット方法は危険なので記載しません。ネットで検索するとヒットします。
  リセットしなくても動作していますので今回は実施しませんでした。


7.裏蓋を締めます
  ネジは無理な力を入れると山が潰れますので適度に締めました。
8.完成です
 1995.1.1の表示で20年前ですね。初期設計がこのあたりなのでしょう。
バックライトのテストです。

以上で完了しました。電池さえあればさほど時間はかからないと思います。
この他にパッキンのグリスアップ等も行うなど、詳しいノウハウはネットに載っていますので、其方を参考にしてください。

さて、何年持つでしょうか。前回交換後も海や山で活躍してくれていて問題無く、今回の交換でもパッキン内部は綺麗でしたので交換方法は問題無いと思います。